団員インタビューその4/Obなべ×Obつかさ 対談
スプリングコンサート2025に向けての意気込みや見どころについて対談してもらう予定でしたが、後半はオーボエ談義になってしまいました…
対談:オーボエなべさん ×オーボエつかささん
司会:バスクラリネット茂呂
簡単に自己紹介を
つかさ
ツカサです。担当楽器はオーボエと、あと今回の演奏会では1曲だけイングリッシュホルンを吹かせてもらいます。
吹奏楽始めたのは高専から。まずはパーカッションから始めて次はフルート、で、オーボエって感じです。
あとは幼少期からヤマハ音楽教室行ってました。
ちなみに中学の時はバレーボール部。
なべ
僕は楽器始めたの大人になってから。2008年、もう20年弱。
なんでか分かんないけどオーボエ始めた。演奏会ではファゴットもやります!
上福岡ウインドの事についてお伺いします
入団の決め手はなんですか?
なべ
家と職場から近かったから!
「ウインドオーケストラ」っていう団名だったから、管楽アンサンブル(室内楽)をやる楽団だと思って見学に行ったの。吹奏楽団だとは思ってなくて、勘違い。笑
でも、いや、まあまあ…。いいかな。レベルアップになるかなと思って辞めてない、惰性で来てる。笑
当時はまだほら、オーボエ始めて1年目のド初心者だったから、吹奏楽やってレベルアップしてからオーケストラ行こうと思って。
ま、結局ココ入って1年後にオケも入ったんだけど。
つかさ
私はちゃんとした理由があって 笑。
社会人になって九州から埼玉県に引っ越してきたんですけど、最初は川越市のオケとか東京の方まで出てアニメ・ゲーム系の吹奏楽団に入ってたんですね。
結婚して子供が生まれて、ちょっと、なかなか、音楽まで手出せないなっていうのでしばらく休んでたんですけど。
もう子供も5歳になるし、そろそろ、ってなった時に都内じゃなくて近場で探そうかってなったんですけど。
自分はもう楽器吹ければいいと思ってて音楽を楽しんでやりたいんです。いろいろ見学いったんですけどココが一番ゆったり活動できるような空気だったんで。
私生活の融通も利くしのんびり活動してるんですが、やるときはしっかりやるところに魅力を感じて入団しました。
活動はどうですか、どんなことが楽しいですか?
つかさ
やっぱ社会人バンドってだけあって、なんかその、個性的な方が非常に多くて、逆に面白いなっていう風に…。
そう、なんか、推し団員のアレとか、もう皆さん、その、ナベさんの…。「生態不思議団員」笑
真面目に言うと、やっぱりクラリネットのトシオさんとお話したいですね。
※トシオさん。自衛隊の音楽隊にいたクラリネット奏者。定年退職後めぐりめぐってKWOで一緒にやってます。只今トシオさんは体調不良で休団中なのです。
なべ
うん、なんか、まあ、うん。楽しそうにやってて、ゆるゆるだから、まあ良いなと思って。
僕自身はオケのエキストラに呼ばれていろんな楽団いくけど、やっぱり合奏始まる前に仕上げんのが当たり前だったりするんだよね。個人練習の時間っていうのはもう全くないし、集まったらすぐ合奏。それで出来なかったら「そこ宿題ね、はい次」って感じ。
「じゃあココみんなでやってみましょうか」とかならない、止まらない。
初見大会でも落ちる以前にもう個人練習でやってくる。
つかさ
オケだと曲が長いので捕まえて返する時間がないんですよね。
演奏会についてです
あと2ヶ月です。楽しみですか、不安ですか。
なべ
不安には感じてない。
うん。いや、うん。だってそんなもんってもう割り切ってるから。でもみんなどんどん良くしようと目指してはいるじゃん?出来ようとはしてる、そういう雰囲気は楽しいし嬉しいな。
出来ないなりに楽しい。みんな不安になんか思わないで楽しくやればいい。
つかさ
私もあれですね、社会人っていう枠で考えた時にステージの上に立てる人なんて限られてるじゃないですか。そういう機会があるっていうのはすごい貴重だなっていう風に思うんですよ。
学校にいる時って部活があって、大会があって、何かしらのスポットが当たるようにされてるけど、大人になってからってね。
そこってちゃんと自分で選択して、ここでやりますってなって、演奏会費も払いますとか、そういう色々なプロセスを経た上で、あとはやっぱり取り仕切ってくれる方とかいるじゃないですか。
やっぱそういうのがあって舞台に立つことができるっていうのが、やっぱり自分にとっては楽しいっていう風に思うんですよね。
なべ
そうだよね。うん。
つかさ
なので、もうせっかくだしもう楽しまなきゃ申し訳ないです。
なべ
なんかこれ多分オーボエの人の特徴だと思うんだけど、「俺の音を聴け」っていうのない?笑
オーボエって下手な人みたことないんだけど…
なべ
初心者は本当にやばいよ。笑
オーボエって音程とるの難しいし、かといって音量を抑えるのも難しい楽器だから、ちょっとしたミスが楽団へ与える影響がおっきいの。なんで、うまくなるまではすっごい迷惑かけちゃう。
僕が入団した最初の頃はもう、オケでは「破壊神」とか言われてた。笑
今回の曲の中で技術的に難しい所ってある?
つかさ
「リトルマーメイドメドレー」、指まわらないない。というか物理的に無理。なんでそう、何なのそれ、っていう。笑
なべ
僕も「リトルマーメイド」をあげてるんだよね。テンポ早いしね。変え指(基本運指ではない指使いのこと)もない、運指が一択。ゆび滑らせてやってる。
たまにあんの、そういう「この編曲者オーボエの指わかってねえだろ」って思いながらこう、すべらしてやるの。
オーボエ以外のパートで「ココかっこいいな」とかある?
なべ
バッハの「主よ、人の望みの喜びよ」。ぜひ金管楽器勢にカッコよく決めて頂きたい!!
オリジナルもトランペットが合唱のソプラノパートと一緒の音を奏でますが、吹奏楽版は合唱のアルト、テナー、バリトンのパートが金管楽器に割り当てられます。
神が降臨するような響きが決まるとすごいカッコいいです!!!
自分木管だからさ、金管がかっこよく決めるといいよね。特にトロンボーン。3人でちゃんと和音が決まった時とか。「すごいよ、よくやった」とか。
トロンボーンって元々がほら、「神の楽器」っていう。元々トロンボーンって教会から持ち出し禁止だった楽器だから。聖職者が吹く楽器だったの。
古典の頃は交響曲とかじゃ使われなくて、ずっと教会音楽。
で、ベートーヴェンがそれ外に持ち出したの。
つかさ
この団の合奏で言うと、やっぱり「たなばた」の後半部分のトロンボーンとか。なんか前列(指揮者に近い席)で聴いてて分かるんですよ。楽しそうに吹いてんなーと。いや、必死だから楽しそうだな、と。
なべ
頑張ってる時ってまあ楽しいからね。必死で。
演奏以外に楽しみな事とは?
なべ
打ち上げでしょ。美味しいじゃないですか、ビールが。うん。いや、だってそれが1番の楽しみじゃん。
つかさ
うん。むしろ本番がそっちかなと。笑
もう演奏会はもう早く飲みたい、みたいなね。ちょっと先行しちゃいますね。
なべ
もう、そうそうそう。演奏会やったメンバーで一緒にやんのが楽しい。
つかさ
「お前あそこトチったな」みたいなこと話したりして。
金管楽器とかだと「あそこハイトーン当たったね」とか。
なべ
吹奏楽の大曲だと最後の方ピロピロしてくるじゃん。木管楽器がピロピロやっててもさ、全然誰も褒めてくれないからさ、勘弁してよと思うけど…笑
オーボエの事についてお伺いします
楽器の色違うのなんで?
つかさ
自分の楽器はムクの木でうすだいだい色、ナベさんの楽器はグラナディラで黒っぽい。自分の楽器は合板で仕上げてるんで、樹木の切り出しとかそういうのじゃないんですよ。
ね。冷蔵庫で吹いても割れません。
ヨーゼフっていうメーカーのオーボエ使ってるんですけど、ちょうどなんか割と新しい会社で、20周年とかってなった時アトリエに遊びに行ったんですよ。
したら、「こういうのが出るよ」って言われて。その場に社長さんいたんで、色々試奏させてもらって。
これ実はですね、売り物として流通する前のテスト機で、試奏してみて「いいじゃん」みたいな感じになったんです。それで購入決めたって感じです。まだ独身だったし。
二人ともリード自作勢だよね?
なべ
奏者の体格も影響あるしやっぱりこの楽器に合ったリードっていうのがある。
このスタイルはこの楽器で、このリードがいいっていうのがあるんで。それと体力だとか、口周りの筋肉とか。
クラリネットとかサックスみたいにリードの厚さ番号はない。3とか3半とかない。
で、オーボエのリードって量産ができないですね。
なんで、もうプロの人とか音大生の子がリード作って、大体お店におろしてリード作れない人は買う。
うちの師匠とかは、やっぱり自分が使うリードと売る専用リードを分けてて、自分はちゃんと演奏会でやるようなリードを作って、販売用のリードは軽めに作ったり。
だから市販のリードっていうのは大体軽い。軽いから音色もちょっとチャラくなりがち。いい音色のリードもあるにはあるけれど、やっぱりちょっと薄めだからプロのような音にはならない。
ちなみに、
自分のスタイルはジャーマンスタイルのもので、師匠もジャーマンスタイル。師匠の師匠が、ベルリンフィルのオーボエ吹きでして、カラヤン率いる、黄金期のスター・プレイヤーの一人、ローター・コッホです。めっちゃ、ドイツですね!!!楽器も、ジャーマンスタイルにあったものですが、リードもジャーマンスタイル。ドイツ系の定番チューブ、ギュルツィオのD12(昔の定番だったクロッファーの後継)を使った設計です。しかし違うのは、日本は、ドイツとは違い温暖湿潤気候である事。また、ドイツ人と日本人の体格差。日本の気候と、自分の体格に合わせたリード設計が必要な事から、ヨーロッパの地中海近郊で育った丸材(葦の茎)をオーボエの専門店で買って、そこからリードを作っています。ト●タ自動車様の品質保証でも言われる「品質は前工程から作りこむ」。これ、リードでも同じでして、質の良いリードを作ろうと思うと、前工程から作ることが大切です。地中海近郊に土地が欲しいですね!!!葦の茎を割り、カンナをかけて茎を薄くし(リードの裏面を削り)、リードの形にシェイピングして、糸でチューブに巻き、2週間以上寝かせてから、リードの表面を削り、完成です!!そう、このシェイピングにも、すごいノウハウがありまして・・・ちょっと、クラシックをかじった方、たとえば、のだめカンタービレを読んだ方々、黒木君、リード削っていましたね!それだけ見ると、リード削りで音色を作ると思われがちですが、実は音色は、削る前の工程、形を作る工程、シェイピングの方が大きく関わるのです!!専門店では、その「型」もたくさん売られてまして、その種類100種類以上!!(※1個数万円します。全部そろえると、数百万!!!)自分も、研究に研究を重ね、今の型に落ち着きましたが、イングリッシュホルンのリード作りは、10年以上たっても、まだまだ、未だに試行錯誤中です。研究で分かったことは、音色は、リードの削り方じゃなくて、葦の茎をチューブに巻いた時に、立体的、空間的な、息の通り道の形状が、音色に大きい影響を与える事が解りました。その、立体的な空間は、葦の茎を、どういう形でシェイピングの形で変わるものであり、だから、100種類以上の型が売られているわけですね!!!
つかさ
ダブルリード協会のお店、オーボエとファゴット専門に扱ってる会社があるんですが、そこに行った時とか「顧問の先生からお金をもらってリードを買いに来ました」って中高生がもうすごいいるんですよね。
あと、試奏したリードをこう戻すもんだから、とりあえずちょっと見てみるかって言って引き出してあげると、もう形がすごいリードとかいっぱいあるんですよね。新品なのにもうすでに使い古されてるみたいな。
オーボエ奏者として互いの羨ましいところは?
なべ
ツカサさんのソルフェージュ。そうそう、すごいですよね。
つかさ
音階。音で歌うみたいな
なべ
はいはいそう。で、フレーズとかすぐパンって譜面見ないで吹ける。
つかさ
はい。もう聴けば。
なべ
僕それできない。楽譜見ないと演奏できないからスゴって思って。
つかさ
うん、絶対音感は一応持ってます。
吹奏楽始めるまではそれが普通だと思ってたんですけど、吹奏楽で「じゃあ基準の音あわせましょう」ってなった時に、例の音鳴らすじゃないですか。「なんでシのフラットなんですか。ドにすればいいのに」みたいなこと言ったら、みんなが、え?みたいな。
ナベさんの羨ましいところはですね、やっぱりその知識量が…。と言うところと、やっぱり普通に演奏してて、上手いなって思います。
普段演奏会に来ない人たちにアピールを
なべ
色々てんこ盛りなコンサートです。久しぶりの、ちゃんとした反響板のある、ちゃんとしたホールでの公演。
それでいて、かたくるしいコンサートでもなく、ちっちゃい子供から、おおきい子供まで、楽しめるコンサートになればと思います!
つかさ
もし、この対談やこのコメントを見る機会があるようでしたら、ふらっとお立ち寄りください。
意外とどこかで聞いたことある曲ばかりです。あと、ドレスコードとかもないです!きっと楽しいはず!
---完---
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